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【ブログ更新】筋力トレーニングが、スポーツのパフォーマンスを低下させてしまうことも

筋力トレーニングで筋力が増加するのは、以下3つの要因があります


1.筋肉が肥大する
2.動作が上手になる(動作学習の効果)
3.神経系の抑制が低減される


■筋トレと動作学習
筋力トレーニング初心者がトレーニングを始めた初期に起こる筋力増加は、
上記の主に2と3によるものです。

一例を挙げると、筋力トレーニングの経験がほとんどない若い方がスクワットを8週間行った結果、
スクワットの最大筋力は70%増加していたのに対して、レッグプレス(下肢を伸展させるマシン)では30%、レッグエクステンション(膝を伸展させるマシン)では5%しか増加しなかったという研究があります。

もちらん8週間もトレーニングを継続すればある程度、筋肉の肥大も起きていると考えられます。

ですが、レッグプレスやレッグエクステンションに比べてスクワットの筋力が70%も増加した理由は
「スクワットが上手になったから」、
言い換えれば「運動学習効果」があったからです。

運動学習効果は、「動作特異性」とも言うことができます。

このように、筋力トレーニングでは動作特異性がとても表れやすい特徴があります。


■スプリンターはレッグエクステンションが下手
筋力トレーニングの動作特異性は、スポーツ選手の個々の特性とも関係がありそうです。

セールというカナダの研究者が、陸上競技のスプリンター(短距離選手)と長距離選手にレッグエクステンションを行わせた実験では、
スプリンターの方が明らかに筋肉量が多かったにも関われず、筋力(おそらく体重比の筋力)にほとんど差がなかったという報告があります。

その理由は、スプリンターがレッグエクステンションを行う時には、
ハムストリングス(大腿部後面の筋肉)が比較的強く共縮していたためだったそうです。

ハムストリングスは通常、膝を屈曲させる(曲げる)筋肉です。
レッグエクステンションは膝を伸展させる(伸ばす)動作で、大腿部前面の大腿四頭筋が主に働きます。

筋肉が筋力を発揮する時には通常、主に働く筋肉が収縮して、
逆の働きをする筋肉は神経興奮が抑制されながら伸長され(伸ばされ)ます。

ですが、いろいろな理由で逆の働きをする筋肉が、主に働く筋肉と同時にある程度収縮を維持しようとすることを「共縮」と言います。

レッグエクステンション

■大腿四頭筋とハムストリングスの共縮のワケ
なぜスプリンターがレッグエクステンションをする時に共縮が起きてしまうこと言うと、それはスプリントの特性に理由があります。

短距離のように走るスピードが速くなり、スプリント動作が強くなるほど、
大腿四頭筋の発揮筋力が上がり膝の関節が前方にズレる方向へ回転力が働きます。

それを抑制するために、ハムストリングスが共縮して関節の安定性を保ちながら篠の伸展動作を行う仕組みになっています。

ですので、スプリンターは無意識のうちに、膝を伸展させる動作において、
ハムストリングスを共縮させるような筋肉の使い方を身につけているのです。

だから、レッグエクステンションの時に、長距離選手と比べて筋力に大きな差が出なかったワケですね。


■トレーニング次第では、パフォーマンスを低下させることに
筋力トレーニングには動作学習の効果が表れやすいので、
スプリンターもレッグエクステンションを継続して実施すれば、レッグエクステンションの筋力は間違いなく上がるでしょう。

ですが、見方を変えると、レッグエクステンションが上手になればなるほど、
スプリント動作においてハムストリングスを共縮させる筋肉の使い方が下手になってしまうかも知れません。

そうなれば、スプリントのパフォーマンを低下させてしまうかも知れません。


■スポーツ選手こそ正しいトレーニング方法を選択しよう
膝を伸展する筋力が明らかに落ちていて、怪我の予防やリハビリ目的でレッグエクステンションを集中的に実施するのは良いと思います。

ですが、例えば「スクワットの代わりに」などと言った理由で闇雲にレッグエクステンションを実施すると、
やはりスプリント能力を危険性があることは、覚えておくべきだと思います。

これは他のスポーツ選手でも注意すべき点です。

昔から「筋トレをしてカラダが重くなった」とか「関節の動きが悪くなった」などと言ったりしますが、
これは筋トレに対する全くの誤解です。

それは、スポーツの動作特異性と、筋力トレーニングの動作特異性のそれぞれを十分に理解しないで筋力トレーニングを実施した結果だと言えます。

言い換えれば、「トレーニング方法が間違っている」のです。

一般の方の筋力トレーニングでも同じですが、
スポーツ選手こそ、個々の特性に合った正しいトレーニング方法を選択しましょう。

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